JR総連の考え方

 4月25日午前9時18分頃発生したJR西日本の福知山線快速電車の脱線事故は、死者97人、重軽傷458人(4月28日現在)という1991年5月の信楽高原鉄道事故(死者42人)をはるかに上回るJR発足以来の大惨事となりました。
 JR総連は、亡くなられた乗客の皆さまのご冥福を心からお祈りし、負傷された皆さまへお見舞い申し上げます。また、労働組合としての責任を痛感するとともに、同じ悲劇を繰り返さないためになお一層の努力をしていくことを誓います。
 直接の事故原因については、今後の調査を待たなければなりませんが、再発防止に向けて次の点を指摘しなくてはなりません。

<その1 運行優先の企業体質>

 JR西日本が策定した、中期経営目標「チャレンジ2008」で「ダウンタイムの短縮」に努めることを掲げています。これは「列車の遅れはお客様の信頼を裏切るものである」として、異常時における早期復旧を社内目標としたもので、安全よりも定時運行を現場に要求するものです。こうした企業体質が運転士に無理な回復運転を強いる背景となっています。

<その2 見せしめの「日勤教育」>

 停止位置をオーバランし、運転指令に虚偽報告を行うことは常識では考えられません。経験11カ月の運転士の技量が疑問視されています。しかし、それ以前の問題として、強権的な社員管理によって運転士の心理状況が追いつめられていたことが推測されます。
 運転士がミスをすると、「再教育」と称して長期にわたり乗務から外し、反省文を何枚も書かせたり、乗務とは関係ない草むしりなどが懲罰的に強制されます。管理者が大勢で取り囲み、社員に罵声を浴びせるなどの仕打ちが繰り返されるのです。2001年9月、私たちの仲間であった服部匡起さんは、京都駅での折り返し電車をわずか50秒遅延させたことを叱責され、「日勤教育」3日目に自殺しました。

参考 服部事件詳細

<その3 競争を強いる賃金制度>

 JR西日本は、2000年にJR6社の中ではじめて能力主義賃金を導入しました。さらに、来年からは、それを深度化するため制度を改めようとしています。
 社員への「評価」を賃金に直接反映させることは社員間の競争をあおるものです。安全を旨とする輸送業務に能力主義賃金は必要ありません。

 

JR西日本の職場を創り変えよう!

  1. 物言える職場に!

  2. 労使協調では変革できない!

  3. どうする!?評価賃金制度

JR福知山線快速電車脱線転覆事故についての声明

国交省、航空・鉄道事故調査委員会に対するJR西日本・福知山線脱線事故に関する要請

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